- ■2012.07.03
2日に国税庁は12年分の路線価を公表しました。
標準宅地の増減率が平均で前年比2.8%減と4年連続で下落しました。 詳しく見る
STEP:1
そもそも
相続とは
そもそも相続とは
相続という言葉の意味については、今さら詳しい解説は必要ないくらい知名度が高い言葉ですが、
いざ相続する立場になった際、どうすればいいのか?と迷われる方がほとんど。
財産を持っていた人が亡くなった際、その財産の所有権が遺族に移ることを言います。財産というのは預貯金はもちろん、土地などの不動産、株券などの有価証券などが含まれます。
相続される財産が一定額以上になると、相続税がかかります。
この「一定額」というのは、基礎控除となっている5000万円が基準になっており、そこに法定相続人といって相続の権利が発生する人数に1000万円をかけたものとなっています。
【ご注意】[ 3000万円 + 600万円 × 相続人数 ]税制改正法案によりこれは平成23年4月1日より適用予定となっておりましたが、震災対応などにより継続審議中です。今後、変更の可能性がございます。もし改正となった場合は相続税の対象となる方が約1.5倍になるといわれております。お亡くなりになった日により、適用かどうかの判断となります。当社ではご相談無料にて行っておりますので、お気軽にご相談ください。
例えば、夫婦と子供2人という標準的な世帯で大黒柱である夫が亡くなったとします。その時点でマイホームを購入しており、その不動産の評価額が5000万円だったとします。基礎控除だけでも5000万円なので、このケースではもちろん相続税はかかりません。税務署への届け出も基本的には必要ありません。このように亡くなられた方に資産があった場合でも相続税の課税対象となるかどうかは資産の規模によって異なります。亡くなられた方の中で実際に相続税の納税義務が発生する人というのは8%程度だと言われています。 亡くなられた方が持っていた資産の評価額、これがいくらになるのかが課税そのものの対象になるかどうかの分かれ目にもなるので、とても重要な鍵を握っています。しかも、この資産評価についてさまざまな解釈があり、適正に評価しないと課税そのものの公平性を欠くことになります。「相続に強い」と言われている税理士などの専門家というのは、この資産評価についての豊富なノウハウや専門知識を持っており、それを活かして支払う必要のない税金まで課税されることがないようにすることも仕事のひとつとしています。 また、実際に相続が発生する段階に至るまで、生前に手を打っておくことで相続税は節税やトラブル回避を含めたさまざまな対策を講じることができます。
いざ相続が発生したという段階で専門家に相談する方が多いのですが、私たちの立場からするとできるだけ早い時期から専門家が関与することにより、相続はスムーズに、かつ失敗しないものとなります。
STEP:2
相続の手順
相続の手順
相続には実にたくさんの手順があります。しかも、それぞれの手続きには期限が設けられており、時間的な猶予はあまりありません。お身内の方が亡くなられたという悲しみに暮れている時間もないとよく言われているのはそのためで、そのためにも煩雑な手続きなど相続に関わる実務は専門家に任せてしまうのが最も無難かつ有利だと言えます。
被相続人が死亡 | ここまでを3ヶ月以内に |
お通夜、ご葬儀 | |
遺言書の有無を確認 | |
四十九日法要 | |
相続人の調査、確定 | |
相続財産の承認 | |
相続放棄、限定承認、単純承認 | |
相続方法の選択 | |
準確定申告 | ここまでを10ヶ月以内に |
遺産分割協議、遺産分割協議書の作成 | |
相続税の計算 | |
申告書の作成 | |
納税方法の選択、決定 | |
遺産の分割 | |
名義変更 | |
相続税の申告、納税 | |
一周忌法要 |
被相続人がご逝去されてから、1年後の一周忌法要までの大まかな流れです。この中で、専門家が手続きを行うところ、そして専門家がアドバイスなど関与をしながらご遺族に行っていただくことには色をつけました。ご葬儀や法要以外の全てに色がついていることがお分かりいただけると思います。これらの部分においてうまく進めることができないと、“争族問題”の発生や、不利な課税など、さまざまな問題を起こすことになります。相続対策のトータルサービスという業務が実に多岐にわたっていることがお分かりいただけると思います。
STEP:3
相続の
専門家!?
相続の専門家!?
~「良い相続」の成否は、専門家の腕次第?~
相続の税務というのは、単に相続税の申告書を作成するという簡単なものではありません。相続税の課税対象となる資産の適正な評価や、遺産分割を争いなくスムーズに進めていくことなど、業務の範囲はとても広くなります。それだけに、相続を進める上で専門家選びというのはこうした全ての守備範囲をしっかりとカバーできるかどうかという点を見極める必要があります。 特に相続財産の評価は解釈の幅が広いため、適正に評価しないと税金を払いすぎてしまうというリスクがあります。 「良い相続」となるか否かについては、専門家の腕によるところが非常に大きいということになります。
~三つの重要な要素「専門知識」「情報力」「ネットワーク力」そして信頼関係~
「良い相続」のために必要なものとは、何でしょうか。 相続税というのは課税対象となる資産の額や、納税額が高額になることがほとんどです。それだけに資産評価などが適正でないと払いすぎてしまう税金の額も大きくなってしまいます。少しでも相続税を節約したいのに、知らないうちに払いすぎてしまうなんてもってのほか…これは、相続税を納税される方の本音ではないでしょうか。 土地の形状や立地など、さまざまな要素で評価額が下がるのですが、これを知らないと過大評価のまま申告することになってしまいます。これを回避するための「高度な専門知識」これが一つ目です。
そして、目まぐるしく変化している税制に対する最新情報や、資産評価などに関する最新のノウハウなど、「常に最も有利な申告をするための情報力」、これもイマドキの相続には欠かせません。これが二つ目です。
三つ目はネットワーク力。相続が“争族”と揶揄されているように、遺産分割などで争いが起きることが多く、それを回避して気持ち良い相続を進めるためには法律家の出番があるかも知れません。税務の範囲を超えた業務にもしっかり対応できる専門家のネットワーク力も、求められているのではないでしょうか。
失敗したくないからこそ、大切な信頼関係 多岐にわたる業務をしっかりとこなすことができて、争いが起きた時にもしっかり対応してくれる税理士であれば、全ての人にとってナンバーワンの税理士なのでしょうか。 確かに仕事の面ではそうかも知れませんが、大切な相続という仕事を任せるには、これだけでは足りないような気もします。最後に必要なのは、ご依頼者と税理士との人間的な信頼関係です。 ご依頼者も税理士も人間です。しかもご依頼者にとって相続というのは、大切なお身内を亡くされたという悲しい出来事に加えて、財産を守らなければならないという重大な局面を迎えている時でもあります。そんな時だからこそ、しっかりと仕事をする税理士であるのと同時に、この人になら任せられるという人間的な信頼関係が必要になると思います。 「何となく頼りになりそう」「出身地が近い」「話していて親しみがある」…理由は何でもいいのです。専門家選びにおいては、人間的に信頼できるかどうかという点もしっかりと吟味してください。
STEP:4
法定相続人
について
法定相続人について
生前に、遺言を作成いている場合は遺産を誰に相続させるのかを指定することができます。しかし、遺言を作成していない場合で、相続が発生した際、誰が遺産を相続することになるのでしょうか。このような場合を想定し、民法において、「法定相続人」が定められています。法定相続人の対象となる人は、配偶者・子・父母・兄弟姉妹などです。(孫や祖父母、甥や姪も含まれます。)
これらの人全員に対して、平等に財産が分けられるのかというと、そうではありません。民法によって相続割合が定められています。この割合を「法定相続分」といいます。以下で、「法定相続分」について詳しく説明します。
~法定相続人となる人物~
配偶者⇒常に相続人となります。
子⇒常に相続人となります。(死亡している場合は孫が対象となります。)
父母⇒子がいない場合に相続人となります。(死亡している場合は祖父母が対象となります。)
兄弟姉妹⇒子・父母がいない場合に相続人となります。(死亡している場合は、甥や姪が対象となります。)
~法定相続分について~
【配偶者だけの場合】
配偶者⇒全額
【配偶者と子の場合】
配偶者⇒1/2
子⇒1/2(子が複数いる場合は、1/2を人数で按分します。)
【配偶者と父母の場合】
配偶者⇒2/3
父母⇒1/3
【配偶者と兄弟姉妹の場合】
配偶者⇒3/4
兄弟姉妹⇒1/4
【配偶者がいない場合】
上記と同様の考え方により、子⇒父母⇒兄弟姉妹の順で、全額が法定相続分となります。
財産の分割に関わらず、相続税の算定の際には、法定相続人および法定相続分に関する知識が必須となってきますので、是非とも知っておきたいところですね。
STEP:5
配偶者の税額の軽減
配偶者の税額の軽減
今回は配偶者の税額の軽減についてご説明いたします。
・制度の概要
配偶者の税額の軽減とは、被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が、次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという制度です。
(1) 1億6千万円
(2) 配偶者の法定相続分相当額
この配偶者の税額軽減は、配偶者が遺産分割などで実際に取得した財産を基に計算されることになっています。
したがって、相続税の申告期限までに配偶者に分割されていない財産は税額軽減の対象になりません。
ただし、相続税の申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付した上で、申告期限までに分割されなかった財産について申告期限から3年以内に分割したときは、税額軽減の対象になります。
なお、相続税の申告期限から3年を経過する日までに分割できないやむを得ない事情があり、税務署長の承認を受けた場合で、その事情がなくなった日の翌日から4か月以内に分割されたときも、税額軽減の対象になります。
・配偶者の税額軽減を受けるための手続
(1)税額軽減の明細を記載した相続税の申告書に戸籍謄本と遺言書の写しや遺産分割協議書の写しなど、配偶者の取得した財産がわかる書類を添えて提出します。遺産分割協議書の写しには印鑑証明書も付ける必要があります。
(2)相続税の申告後に行われた遺産分割に基づいて配偶者の税額軽減を受ける場合は、分割が成立した日の翌日から4か月以内に更正の請求という手続をする必要があります
STEP:6
贈与税の配偶者控除について
贈与税の配偶者控除について
婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できるという特例があります。
下記の要件を満たす必要があります。
(1) 夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと
(2) 配偶者から贈与された財産が、自分が住むための居住用不動産であること又は居住用不動産を取得するための金銭であること
(3) 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した国内の居住用不動産又は贈与を受けた金銭で取得した国内の居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること
また、贈与税の配偶者控除を適用した贈与は、相続開始前3年以内の生前贈与加算の対象となりません。
仮に、贈与をした年に、相続開始となってしまった場合でも、特例の適用が認められることになります。
STEP:7
震災特例法
震災特例法
このたびの東日本大震災により被災した方々に、心よりお見舞い申し上げます。
東日本大震災により、震災特例法が制定され、税制上の緩和がなされています。
相続税においては、震災前に相続等で取得した被災地等にある特定土地等・特定株式等について、相続時の時価ではなく、震災後を基準とした価額を課税価格に算入できることなどが規定されています。
震災後を基準とした価額については、具体的計算方法については現在検討中のことで、今後示される予定です。
特定土地等とは、現在申告期限が延長されている5県(青森、岩手、宮城、福島、茨城)のみではなく、栃木県、千葉県、新潟県の十日町市、中魚沼群津南町、長野県下水内群栄村にある土地又は土地の権利をいいます。
特定株式等とは、上記の地域内に保有する、動産等、不動産の割合が保有資産の3割以上である非上場会社の株式等のことです。
この特例を適用する場合、課税価格の減額だけでなく、相続人全員の相続税の申告期限が平成24年1月11日に延長されることとなります。
STEP:8
土地家屋の評価について
土地家屋の評価について
相続税や贈与税を計算する際、相続や贈与などにより取得した土地や家屋を評価する必要があります。
今回はその基本的な評価方法をご紹介したいと思います。
・土地の評価について
土地については、原則として宅地、田、畑、山林などの地目ごとに評価します。
評価方法には路線価方式と倍率方式があります。
(1)路線価方式
路線価方式は、路線価が定められている地域の評価方法です。
路線価とは、路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額のことで、
千円単位で表示しています。
路線価方式における土地の価額は、路線価をその土地の形状等に応じた奥行価格補正率などの
各種補正率で補正した後に、その土地の面積を乗じて計算します。
(2)倍率方式
倍率方式は、路線価が定められていない地域の評価方法です。
倍率方式における土地の価額は、その土地の固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて計算します。
路線価図及び評価倍率表は、こちらをご覧ください。
・家屋の評価について
家屋については、固定資産税評価額に1.0倍して評価します。したがって、その評価額は固定資産税評価額と同じです。
今回ご紹介したのは、評価の基本的な方法になります。場合によっては、評価額の一定割合を減額する相続税の特例が使える場合もありますので、特例についてはまたご説明したいと思います。
STEP:9
住宅取得資金の贈与特例
住宅取得資金の贈与特例
住宅購入資金として、直系尊属(祖父母や父母)から贈与を受けた場合、一定の額までの非課税が認められています。
平成23年中の贈与については、非課税枠が1,000万円となっています。
また、この制度は暦年課税と相続時精算課税のどちらを選択することも認められています。
暦年課税を選択した場合、非課税枠1,000万円と基礎控除110万円の合計1,110万円まで非課税となります。
相続時精算課税を選択した場合、非課税枠1,000万円と特別控除2,500万円の合計3,500万円まで非課税となります。
但し、この場合は相続時に相続財産に合算される点を認識しておいて下さい。
なお、注意点が2点あります。
①この特例は平成23年までの制度となっています。
確実に非課税枠を利用するためには、平成23年中に贈与を受け、平成24年3月15日までに住み始める必要がありますので、注意が必要です。
②非課税の特例の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、必要書類を提出する必要があります。
提出を忘れてしまうと、適用が受けられなくなりますので、注意が必要です。
住宅を取得予定の方は、一度検討されては如何でしょうか。
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